臆病者のための裁判入門 (文春新書)
橘 玲
文藝春秋
売り上げランキング: 28

ちょっとパラパラとページを開いたら、おもしろくて一気に読んでしまった。損保のずさんな対応から本人訴訟で裁判をすることになってしまったノンフィクションの体験談をいとぐちに、個人が訴訟を起こす場合の実情について案内がされている。最後は福島原発の損害賠償請求の実態について。へー、そっかー、いろいろ気をつけないとなー、と思った。自分の身は自分で守らないとねえ。

フリーで仕事をすると、請求書の入金締切日を過ぎても入金されないことがたまにある。
これって戦闘モードかなあ、もめるの嫌だなあとおそるおそる問い合わせをすることになる。
今のところ踏み倒されたことはないけど、そういう人がいつ出てきてもおかしくない。
そんなとき、この本に書いてあることを知っているのと知らないのとだとだいぶ心構えが違うと思う。

サラリーマンで毎日会社に行っていると、仮に裁判となると会社を有給で何日も休まないといけなくなるので、その面倒臭さを考えただけでもう裁判なんてナシナシという判断になり、さっさと示談で和解したくなるけれど、フリーランスだとそこは逆に、まあたとえ数万円の話でも定形の書類を書いて何度か出かけるだけでお金になるなら出かけるけど、という感じではある。

まあもちろんできる限り裁判所のお世話になんかなりたくないけど、いつ何が起こるかわからないので、何回か傍聴に行って、裁判所に対する免疫を作っておくのはそれなりに有効かもしれない。本当に大事なときに慣れない話で気が動転して致命的な失敗をしないように。

■へええと思ったところ
・損保ができるだけ支払を少なくするよう振る舞うのは当たり前
・80年代までは損保の請求は事件屋という代理人のヤクザが担当をしていたそう。
・暴力団取締法の施行や頂上作戦によって上位者による仲裁機能が失われ、当事者同士が裸でぶつかり合うようになり、暴力団抗争に巻き込まれる民間の被害者が増えている
・民事訴訟で負けて、強制執行されそうになると、被告は銀行預金などを妻や子どもの名義に変える。これだけで強制執行を防げる。

「外資系金融の終わり」にのっていた、国際金融システム上重要な金融機関(G-SIFIs)を覚え書きとしてメモ。

ヨーロッパ

イギリス
 バークレイズ Barclays
 ロイズ・バンキング・グループ Lloyds TSB
 HSBC
 RBS Royal Bank of Scotland

フランス
 BNPパリバ BNP(Banque Nationale de Paris) Paribas
 ソシエテ・ジェネラル Société Générale
 クレディ・アグリコル Crédit Agricole
 バンク・ポピュラーレ

ドイツ
 ドイツ銀行 Deutsche Bank
 コメルツ銀行 Commerzbank

スイス
 クレディ・スイス Credit Suisse Group AG
 UBS Union Bank of Switzerland

ベルギー
 デクシア Dexia

オランダ
 ING銀行 Internationale Nederlanden Groep N.V.

スウェーデン
 ノルデア銀行 Nordea Bank AB

スペイン
 サンタンデール銀行 BSCH Banco Santander Central Hispano

イタリア
 ウニクレディト・グループ Unicredito Italiano S.p.A.

アメリカ
 シティグループ Citi group
 ゴールドマン・サックス Goldman Sachs
 バンク・オブ・アメリカ Bank of America
 バンク・オブ・ニューヨーク・メロン Bank of New York Mellon
 ステート・ストリート State Street
 モルガン・スタンレー Morgan Stanley
 JPモルガン JP Morgan
 ウェルズ・ファーゴ Wells Fargo

中国
 中国銀行 Bank of China

日本
 三菱UFJフィナンシャル・グループ
 みずほフィナンシャルグループ
 三井住友フィナンシャルグループ

外資系金融の終わり―年収5000万円トレーダーの悩ましき日々
藤沢 数希
ダイヤモンド社
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アメリカ、日本、ユーロの金融システムが抱える現状の問題点と今後の見通しがさくっと実感できる良書。
まあそれでも市場経済は少しずつでも拡大していくだろうとは思うけれど、新興国やフロンティアが立ち上がるにはもうしばらく時間が必要そう。
アメリカも日本もユーロもそれぞれの理由で我慢比べ状態。
早いところぐっと抜けてほしいけれど、まあ数年はあせらず気長に眺める感じですかね。

p60
 2007年8月9日、フランスの最大手の銀行であるBNPパリバの子会社が、運用していたファンドの時価の計算と解約を停止した。このファンドは米国のサブプライム住宅ローンを束ねて作られた複雑なCDOで運用されていた。市場でそういったCDOの買い手がいなくなってしまい、適正な値付けも、解約による換金もできなくなってしまったのだ。これがパリバ・ショックだ。
 こうして過去20年も続いた巨大なバブルが崩壊しはじめたのだ。

p65
日本ではなぜかリーマンの破綻がきっかけで世界同時金融危機になった、というような解説をされているが、リーマンがつぶれたのは、むしろアメリカのサブプライム住宅ローン市場の崩壊に端を発する世界的な金融危機の結果であり、あえてその最初のショックを挙げるとすれば、リーマン・ショックではなくパリバ・ショックのほうだろう。

p81
金利というのは1年当たりに直して比べるのだけれど、このように満期までの期間が長いほうが、(1年当たりに換算しても)ふつうは金利が高くなっていく。これを金利の期間構造といい、金利と満期のグラフをイールド・カーブと呼ぶ。銀行というのは、満期の短い短期資金を、より期間の長いところで運用して、長短金利差で儲けているのだ。

p115
 まず投資銀行は、プライマリー・マーケットとセカンダリー・マーケットに分けられる。ここでまた聞きなれない言葉だが、プライマリー・マーケットとは企業が直接資金調達する市場のことだ。株式を発行したり、債券を発行して資金調達したりする。また、M&Aなどの企業買収もプライマリー・マーケット部門の仕事だ。一方でセカンダリー・マーケットのほうはというと資金調達には直接関わらない。
 企業が株式を発行して資金を調達することを考えよう。ある上場企業が新たに100万株を発行して、1株1万円で買い手がついたとしよう。するとこの企業は新たに100億円の資金を調達したことになる。この100万株は、最初の買い手の手を離れて市場に流通する。この株は証券取引所などで流通し、自由に売買されるようになる。ここでは株が売り手から買い手に移って、その対価として同等の現金が株の買い手から売り手に移るだけで、その株を発行した企業には1円もはいらない。これをセカンダリー・マーケットという。

こちらのページをしらみつぶしに読んで、冷蔵庫の横にスペースをあけたり、エアコンのフィルタを掃除したりした。

でんきの上手な使い方
http://www.tepco.co.jp/savingenergy/index-j.html

実家のテレビをブラウン管から液晶に変えたのは結構インパクト大きいと思う。
冷蔵庫も10年ものなので、買い換えてもいい時期だと思うけど、省エネ効果が高いのは10万くらいするので、もうちょっと待ってもいいかなあ、と思う。

シャワーを浴びるとき、お湯全開だとちょっと熱いので、混合水栓でお湯を全開にしつつ、少し水も混ぜていたんだけど、湯沸かし器の設定温度を下げればよかったことに気がついた。そうするとガス代も若干安くなるはず。

逆に煮沸などで大量のお湯を必要とするときは、いちいち鍋で沸かすよりも、湯沸かし器の設定温度を最高にしたものを沸かし直したほうが効率的に思う。

なんでこんな簡単なことに気づかなかったんだろう。習慣の盲目さに愕然とした。

東京ガスの省エネ
http://www.tokyo-gas.co.jp/ultraene/

東京ガスのエコジョーズというのがなかなかよさそうだけど、これも初期投資に20万くらいかかるようなので二の足を踏んでいる。

<光熱費の使用実績の確認サービス>

ちょっと調べたら、最近はネットで使用量や明細も確認できるようになっていた。
まずは定量データを集めるところから。

東京ガス
http://home.tokyo-gas.co.jp/mytokyogas/index.html

東京電力
http://www.tepco.co.jp/kakeibo/index-j.html

東京都水道局
http://uketsuke.waterworks.metro.tokyo.jp/jisseki/

下の記事を書いてから、
だいたい世界の国々はこんな感じになっているんだろうなあ、と思っているんだけど、
うまくまとめられないまま時間が過ぎている。

・産油国一覧
・タックスヘイブン一覧
・人口ランキング

このへんをまとめて、下のと合わせると、だいぶまとまると思うんだけど。

結論の方向性としては、

・タックスヘイブンは楽でいい。
下手なプライドやつまらないしがらみを捨てて、ポリシーを経済オリエンテッドに変える勇気さえ持てれば、おいしいとこどり。
国家に限らず個人もタックスヘイブン的になる可能性も検討。

・3次産業の輸出力向上
2次産業が拡大していく分には金もモノも増えていいんだけど、
先進国ではだんだん2次産業より3次産業の割合が相対的に増えているような気がする。
3次産業は2次よりも属人的で、輸出が難しそう。
そうなると経済が内需寄りの飽和状態になって、先進国から後進国への金の出方が減りそう。
3次産業をいかに効率的に輸出するかが今後の課題。

そういう障害をなるべく減らす対策として、無料ネット電話や、ネットを使ったテレワーク、LCC、電子決済などの興隆につながるのかなあ、と。
その他ビザの撤廃による人材の流動化や、関税の最小化など。
でもそういう未来を見越して先鞭を切ったEUやユーロの取り組みが、いまやすっかりけんもほろろな腰砕け状態なので、みんな及び腰のナショナリズムに陥りがちでもあって、難しいとこですね。

まあEUは低成長の先進国の寄り集まりで、成長株の新興国が含まれていないからバランスが悪かった、という話なのかもしれないけど、だからといってじゃあ例えば旧宗主国なんかをどさっと入れたら解決するかというと、それはそれでまた厄介な問題が目白押しになるのも目に浮かぶので、何がいいんだかよくわからないですが、過去の栄華で食っていくのはどこかで底をつくので、基本線としては未来に賭けるしかないと思います。

・資源国は基本ぼったくりなのでなるべく関わりを少なくしたい
食料自給率なんかより資源自給率のほうが1000倍重要だよね。
エネルギーがなかったら農産物を運ぶことも冷蔵庫で保存することもできない。

MSCIのサイトを見ながら、MSCIインデックスの構成国を地域別に分類してみた。

先進国 24
新興国 21
フロンティア 25
合計 70

世界には国が195あるので、ここにのっていない国があと125ある。
のっていない国は経済指標に組み入れられないくらいなので、だいぶ貧しい国と推測される。

ついでに、行ったことのある国を黄色でマークしてみた。
行ったことのある国で、のっていないのは、キューバとカンボジアくらいかな。
まあ、さもありなんという感じはする。

のっていない国のことが気になったのと、MSCIへの選出条件はおそらくGDPだと思うので、WikipediaのGDP一覧を抜き出した。
WikipediaのGDP一覧は4種類あり、またそれぞれに3種類あるけれど、為替レートよりも購買力平価のほうが感覚的に近いものになりそうだったので、購買力平価を使った。
IMF,Worldbank,CIAのうち、CIAが一番国の数が多かったので、CIAのものを使った。

MSCIでリストアップされていた国を色分けした。
 d:developed 水色
 e:emerging 黄色
 f:frontier ピンク

まずは単純に購買力平価を使った国別GDPランキング。

まあだいたい先進国と新興国が上位を占め、追ってフロンティアが続く。予想通り。

上位に含まれるのに、MSCIのリストに含まれていない国を抽出してみる。

18 イラン 863.50
22 サウジアラビア 622.50
34 ベネズエラ 344.20
46 アルジェリア 254.70
58 ベラルーシ 128.40
60 スロバキア 121.30
62 イラク 117.70
63 エクアドル 115.30
64 アンゴラ  114.10
65 キューバ  114.10
66 シリア 106.40
69 スーダン  98.79
71 アゼルバイジャン 90.15
72 リビア 89.03

これらの国の共通点は何か?
言わずと知れた産油国である。(キューバは除く)
国力とは経済力であり、経済力とはエネルギー力をどれだけ確保しているか、ということだ。
今の世界ではエネルギー力とは石油のことであり、石油が経済力に直結している。

エネルギーの確保というのはそれだけ重要なものなので、石油資源を持っていない日本が国家経済の自律性を確保するために原子力の開発に力を注ぐことはごく当然の帰結だし、石油も無い上に原子力も無くなれば貧乏真っ逆さまになることは明らかで、そんな中で自国民が原子力の廃止にやっきになるというのは、諸外国から見ればとても滑稽に見えると思う。

しかしまあ、そんな中で非産油国のキューバが健闘しているのは注目に値する。
まったくキューバはあなどれない。

このリストは国単位のGDPの総計のランキングだけれど、より実感値をとらえるために、一人あたりGDPというのもある。
これについても、CIAの一人あたり購買力平価のデータをもとに作成した。
GDPを人口で割るので、国民の数は少ないけれど豊かな国が上位に来る。

カタールとリヒテンシュタインがダントツのトップ。
すごいおもしろい。超ダークホース。

リヒテンシュタイン、ルクセンブルク、バミューダ、ジャージー、ガーンジー、アンドラ、ケイマン、ジブラルタル、シンガポール、香港、ヴァージン、サンマリノはいわゆるタックスヘイブン(租税回避地)なので、海外の大儲けした企業が実態はなくとも本社拠点を置くことで、一人あたりGDPを押し上げている。
これらの国の一人ひとりがすごく豊かな生活をしているかというと、まあ豊かには違いないけれど、だいぶ実際よりかさ上げはされていると思う。

カタール、クウェート、ブルネイ、バーレーン、アラブ首長国連邦、赤道ギニアあたりは産油国。

国別GDPのキモは石油、一人あたりGDPのキモは租税回避と石油、という身も蓋もない現実があらわになっている。

そんな中、国別GDP上位の国が、一人あたりGDPで何位になっているか見てみる。

1 アメリカ合衆国 8位
2 中国 99位
3 日本 28位
4 インド 133位
5 ドイツ 24位
6 ロシア 54位
7 ブラジル 80位
8 イギリス 27位
9 フランス 29位
10 イタリア 30位

まあ、アメリカの8位はさすがにね、という感じ。
20番代の日本、ドイツ、イギリス、フランス、イタリアは先進国の似たもの同士。
中国、インド、ブラジルはとにかく人が多いので、人口で割るとガクンと下がる。
フィリピン、インドネシア、モロッコも辛い感じ。新興国なのにフロンティアに追い上げられている。
フロンティアのケニアやバングラデシュの下位ぶりもひどい。
このあたりは一般庶民の生活の体感値と一致する。

そんな中、人口も多く、国土も広いロシアの50位というのはかなり健闘していると思う。
キューバ同様、社会主義国の底堅さはあなどれない。
社会主義は崩壊したと思ってバカにすんなよ、と。
(まあいまのロシアはほとんど資本主義だけど)
(まあロシアはそもそも産油国なんだけど)

一人あたりGDPを押し上げるという意味では、中国の一人っ子政策も考え方としてはありえるのかな、という気もする。
(まあ生産人口の減少が分子となるGDPを下げて相殺してしまうんだけど)

ヨーロッパは、フランス、ドイツ、イギリスといった大国よりも、
ノルウェー、スイス、オーストリア、スウェーデン、オランダ、ベルギー、アイルランド、デンマーク、アイスランドといった小国のほうが上位に来ている。
少ない人口で少数精鋭の効率的な国家経営をしていることがわかる。

オーストラリア(11位)やカナダ(16位)も強い。豊かそうだもんね。天然資源も豊富だし。

ここで上位に来ている国は豊かではあるけれど、その分物価も高いので、豊かだからと言って生活しやすいかというとそうとも限らない。そのあたりのバランスはなかなか難しいところだ。

まあ、日本はほっておいても分母の人口は減るので、あとは法人税を減税して、外国企業を誘致するのが一人あたりGDPを押し上げるポイントだと思う。(逆に言うと、こういう事実がありながら、増税するのはかなり愚か)

ここはぜひ沖縄をタックスヘイブンに

非上場型インデックスファンドの手数料を比較してみた。
比較しやすいように、小数点3桁以下は四捨五入した。
(先日の記事に間違いがあったので修正した)

主だったところでは、インデックスeが最安。
新興国と全世界ではeMaxisも候補に上がるけど、60ベーシスはないなーと思う。
参考までに日興AMの上場インデックスファンドと比較するとますます気を削がれる。
そもそも新興国はポートフォリオの10%で十分なので、非上場型でコツコツ積立てというようなときに出番はない。

非上場型で検討の余地のあるのは国内債券型くらいだと思う。
あとはETFのほうがどう考えても割安。

毎月知らず知らずのうちに積立てで天引きされる感じがいいなら非上場型になるけれど、
どんな銀行からでも積立てができて便利なマネックスではインデックスeの取り扱いがないという悲劇。
まあ楽天証券の積立てで楽天カード引落にすればカードのポイントもたまっていいでしょという楽天の理屈はわからないでもないが、なんだかなという気はする。

毎日の株価はS&P500とTOPIXとドル円くらいしか見ていないけれど、バンガードのETFをまとめ直したこともあり、たまにはもう少し細かく分解してみる。

2012年7月現在の世界経済の課題は、2011年8月の米国債ショックとそれに引き続く欧州ソブリン危機からのアク抜け。
Yahoo financeで拾ってきた2年チャート(2010年7月ー2012年7月)に、2012年7月時点の値から赤い横線を入れた。
危機は8月からはじまり10月に底値をつけたので、回復度の目安を見るために、8月頭の値と10月の底値にも青い横線を入れた。
赤線がどれだけ上の青線に近づいているかが回復の目安。

まずはアメリカの主要企業500社の平均のS&P500。
(ニュースなどではダウが使われることが多いが、ダウはたった30社の平均なので、アメリカ全体の状況を見るには物足りない。)

一応アク抜けはしたかな、と。
3,4,5月についてはだいぶ高値更新を続けて調子よかったけれど、スペイン不安やらで失速気味。

日経225(日経平均。TOPIXを引いてきたかったけど、うまく引けなかったので代替)
日本は米国債ショックに先立ち、2012年3月に震災ショックが起きている。
年初ではアメリカ経済の好調を受けて、2011年7月以来の1万円台を回復したけれど、その後一気に失速。
昨年10月ごろの値に逆戻り。耐性が弱くて情けない感じ。

バンガードの説明のときに比較対象としてピックアップした、isharesのTOK。
MSCIコクサイという日本を除く先進23カ国の指数平均を採用している。
割合としては、米国が57%を占めているので、ほぼS&P500に近似してくる。
(構成国は、米国、カナダ、英国、フランス、ドイツ、スイス、オランダ、オーストリア、ベルギー、デンマーク、アイルランド、イタリア、ポルトガル、スペイン、ギリシャ、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、オーストラリア、ニュージーランド、香港、シンガポール、イスラエル)

現在、2011年1月の頃の値までは戻っているけれど、ショック前の7月にはいま一歩。
4月ごろの高値をつけていたときも、ショック前の値までは戻らなかった。上値が重い。
それだけ欧州の落ち込みは深刻で、アメリカに比べてなかなか復活の道のりは長そう。

TOKは日本を除く先進国だったけれど、VTは日本と新興国も加えて、世界47カ国の指数平均となっている。ほぼ世界平均。
だいたいTOKと同じような感じではあるけれど、よりいっそう上値が重い感じがする。詳細は後述。

いわゆる世界株を用意する場合、ものぐさな人はこのVT(またはACWI)1本を持っておけば、それでおしまいではある。
ただまあそれだと考えることがなさすぎてあまりに退屈なのと、信託報酬が若干割高になる関係で、分解して持ったほうがいいと考える場合もある。

そうした場合、VT=VTI+VGK+VPL+VWOといった関係になる。
ただ、購入額は自分で調整しないとバランスが取れないので、そのあたりが面倒。
その面倒さを、若干高めの信託報酬に手数料として転嫁するかしないかが判断の分かれ目。
いくつもの銘柄を買うと、申込手数料も銘柄ごとに発生するので、結局トントンになるような気もする。

VTを分解した場合、アメリカについては、VTIがスタンダードな選択だと思う。
これについてはS&P500とほとんど変わらない。

ヨーロッパの先進国だけをピックアップしたVGK。対象国は、オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国。

だいぶ重苦しい雰囲気が漂っている。欧州不安の継続が見て取れる。
これがS&P500に比べて、TOKやVTを押し下げていたことがよくわかる。

太平洋の先進国をピックアップしたVPL。
対象国は、日本、オーストラリア、ニュージーランド、香港、シンガポール。
国別構成比率は、日本 62.1%、オーストラリア 24.3%, 香港 8.1%, シンガポール 5.1%, ニュージーランド 0.4%

日本の割合が非常に多いので、日本の憂鬱を大きく引きずっている。
VPLから日本を除く銘柄があると、ポートフォリオ構成上、非常に便利なんだけれども。

新興国23カ国をピックアップしたVWO。うち上位10カ国は、中国 17.3%, 韓国 15.2%, ブラジル 14.8%, 台湾 10.9%, 南アフリカ 7.6%, ロシア 6.7%, インド 6.6%, メキシコ 4.8%, マレーシア 3.4%, インドネシア 2.8%

これもいまいち。ヨーロッパや日本よりも重い感じ。理由としては、新興国に投資していたヨーロッパや日本が、自国の景気回復を優先させるため、新興国マネーを自国に引き上げているからと思われる。

ちょっと前の論調だと、「欧米・日本の経済成長はもう頭打ち、これからは新興国の伸びが欧米・日本を追い越す時代だ」といった意見がよく聞かれたけれど、何のことはない、新興国に投資していた先進国がお金を引き上げたら、おんぶにだっこな新興国は自律なく落ちるだけ、という現実があらわになり、いろいろ残念な感じ。

そんなわけで、こうして見ていると、結局世界経済の牽引役はアメリカだということがよくわかる。
アメリカの天下があと何年続くかわからないけれど、現時点では文句なしの一番であることには違いない。

なお、この記事はここ2年の全体的な傾向を漠然と眺めただけで、チャート分析を推奨するものではありません。

バンガードのETFが安い。

バンガードETF一覧

世界株を構成する際、TOPIX+MSCIコクサイにすると先進国をまんべんなくフォローできるので、1306TOPIX+TOKが美しいポートフォリオ例として各所で推奨されている(TOKはisharesシリーズのうち、MSCIコクサイ(日本を除く先進国)に追随するもの)。

でもTOKは0.25%というエクスペンスレシオ(信託報酬)がちょっと高い。
(市場用語では0.25%のことを25ベーシスと言うときもある。1ベーシス(bp,basis point)は0.01%)

isharesの競合のバンガードのETFを見ると、0.25%より大きいのは1つしかない。
isharesの類似のETFと比較しても、軒並み安い。

残念ながらバンガードにはMSCIコクサイをフォローする銘柄がなく、TOKと同じものを用意しようとすると、VTI(米国)+VGK(欧州)+VPL(太平洋)と3つ組み合わせないといけない上に、VPLには日本が含まれてしまう。
いさぎよくVT(全世界)1本にしぼったとしても日本を含んでしまう。
ここがどうにも欠点。美しくない。(TOPIXを個別に持たなければ、これはこれで楽かもしれないけど)
まあ、でもそれにしたところでVTI+VGK+VPLのエクスペンスレシオの平均は0.11%なので、TOKより低い。
仮に100万円の場合、TOKだと年2500円、VTI+VGK+VPLだと年1100円。
信託報酬は業績に関わらず毎年ずぶずぶと引かれていくものなので、できるだけ少なくしたい。

TOKからバンガードへの移行を検討中。

ついでに配当利回りを入れて降順にソートしてみた。
米国株を含まないほど高い傾向にある。
米国株はパフォーマンスが良い分、利回りは低い。一長一短。
新興国は不安定でもパフォーマンスに期待して買う人が多いと思うんだけど、利回りもいまいちで肩透かしを感じそう。要するに扱いづらい。
そんなわけで、手始めには先進国をまんべんなく、というところに落ち着く。

まあ配当利回りはわりと頻繁に上下するし、株価の上下に比べれば微々たるものなので、参考程度。
まず注目すべきは配当利回りよりもエクスペンスレシオだと思う。

ANAのマイレージスケジュールを参考に、航空券の高い時期、安い時期がわかるスケジュールを作った。

去年も似たようなことをして、漠然と1月から6月が安いんだな、と確認していたので、今年は1月から6月の間に旅行をした。

2月 中国
3月 ハワイ NY
5月 クロアチア

でもこの前、ふとこのANAのサイトを見返したら、このスケジュールは実は地域別になっていて、欧米・ハワイは3月に比べて4月の方が安かったのだった。
3月にハワイとNYに行ったのは失敗だった。1ヶ月待って4月に行けばよかった。
僕としたことがツメが甘かった。Orz

というわけで、反省を込めて、表を地域別に作り直した。
来年以降はしっかりとローシーズンをねらって旅行するようにしよう。

山崎元の「超簡単 お金の運用術」を読み直していたら、こんな一節があった。

p74 「国民年金についてだけ損得計算をすると、保険料の2分の1(2009年度からの予定)が税金から支払われるので、計算上は概ね加入することが得になる年金だ」

厚生年金の2分の1が会社負担というのは聞いたことがあったけれど、国民年金の2分の1が国庫負担、というのは意識したことがなかったので、日本年金機構のサイトを見てみたら、たしかにそうらしい。

3 国庫負担(基礎年金の国庫負担を2分の1へ引き上げ)
平成16年(2004年)の法律改正では、全国民に共通する基礎年金について、これまで3分の1であった国庫負担割合を、現役世代の保険料負担が過重にならないように配慮しながら、年金給付水準を適正に保つために平成21年度までに基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げることを定めました。
平成16年度からその引き上げに着手し、平成21年度から国庫負担割合は、2分の1になりました。

http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=1727

しかも、その上にあるグラフも驚き。

2 保険料水準の固定
従来は、少なくとも5年に一度、財政再計算を行い、給付と負担を見直して財政が均衡するよう、将来の保険料引き上げ、計画を策定していました。
しかし、少子高齢化の急速な進展にともない、現在の方法のまま給付を行う場合、将来的に保険料水準が際限なく上昇してゆくことが懸念されたことから、平成16年(2004年)の年金制度改正で、将来の保険料負担を固定し、その範囲で給付を行うという、新たな年金財政の運営方法がとられました。

http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=1727

いたれりつくせりなんですが。

確かに国民年金単体で考えると、どんどんお得になっているので、これを見逃す手はない。
未納者対策に向けた是正措置とはいえ、大盤振る舞い過ぎて、年金制度の破綻がさらに早まるだけのような。
こんなことをしたら確実に速やかに財源が足りなくなるわけで、足りなくなる分はどうするんだろう。消費税増税か。

国民年金がアメで、消費税がムチ。
ムチだけ受けるのは癪だから、アメももらえるだけもらっとくかねえ、という感じではあるけれど。
(そもそもこんなことするから消費税増税しなきゃいけなくなってるような気も)

まあ、国民年金の掛金も確定拠出年金同様、全額所得控除になるので、掛金が多いほど税金は安くなる。
今50歳以上で、ある程度所得と貯金のある自営業者は、国民年金に加えて国民年金基金も上限まで払うのが賢い。(そこまでの余裕がなければ、せめて月200円の付加年金でも

30・40代の場合は、65歳になる前に、年金制度の破綻に立ち会いそうなので、なかなか悩ましい。

でも日本は腐っても鯛というか、もうダメだもうダメだと言われ続けながらも世界第3位の経済大国なわけで、こうして世界中のお金がドルやユーロを見限って円にやってきて円高は際限なく続いていたりもして、日本経済や国債が破綻することはまずない気がする。日本が破綻するくらいなら、その前に破綻する国が200くらいは順番待ちの行列をしているわけで。日本国債の破綻なんて、外国が100くらい破綻してから心配すればいいような。

年金支給年齢が上がったり、支給額が下がったりはするだろうけど、ゼロになって消えてなくなる可能性はかなり低いと思います。
というわけで国民年金は払えるだけ払ったほうが得なように思います。
希望的観測に過ぎませんが。

—————-

と言いつつ、今20代以下の人が65歳になるころ(2055年くらい)は、日本は破綻しないにしても、年金制度は現在とはまったく異なる姿になっていると思うので、そんな先のことは考えてもしょうがない、という感じではあるかなと。

そんなわけで、国民年金未納率は41.4%(2011年度)と過去最高を更新中なのですが、上記のように半額が国庫負担という事実はあるので、未納にしておくのはとてももったいない気がします。所得が少なすぎて払えない、という場合は、低い所得で確定申告した上で全免申請をするとよいのでは。まあそのあたりは好き好きなので、関心のある人は自分で調べてください。チャオ。


経済白書より

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お気に入りに登録しておいて、気分が落ち込んだときは見なおそうと思います。

一眼レフで撮ったかのようなボケ感もいい。