MSCIのサイトを見ながら、MSCIインデックスの構成国を地域別に分類してみた。
先進国 24
新興国 21
フロンティア 25
合計 70
世界には国が195あるので、ここにのっていない国があと125ある。
のっていない国は経済指標に組み入れられないくらいなので、だいぶ貧しい国と推測される。
ついでに、行ったことのある国を黄色でマークしてみた。
行ったことのある国で、のっていないのは、キューバとカンボジアくらいかな。
まあ、さもありなんという感じはする。
のっていない国のことが気になったのと、MSCIへの選出条件はおそらくGDPだと思うので、WikipediaのGDP一覧を抜き出した。
WikipediaのGDP一覧は4種類あり、またそれぞれに3種類あるけれど、為替レートよりも購買力平価のほうが感覚的に近いものになりそうだったので、購買力平価を使った。
IMF,Worldbank,CIAのうち、CIAが一番国の数が多かったので、CIAのものを使った。
MSCIでリストアップされていた国を色分けした。
d:developed 水色
e:emerging 黄色
f:frontier ピンク
まずは単純に購買力平価を使った国別GDPランキング。
まあだいたい先進国と新興国が上位を占め、追ってフロンティアが続く。予想通り。
上位に含まれるのに、MSCIのリストに含まれていない国を抽出してみる。
18 イラン 863.50
22 サウジアラビア 622.50
34 ベネズエラ 344.20
46 アルジェリア 254.70
58 ベラルーシ 128.40
60 スロバキア 121.30
62 イラク 117.70
63 エクアドル 115.30
64 アンゴラ 114.10
65 キューバ 114.10
66 シリア 106.40
69 スーダン 98.79
71 アゼルバイジャン 90.15
72 リビア 89.03
これらの国の共通点は何か?
言わずと知れた産油国である。(キューバは除く)
国力とは経済力であり、経済力とはエネルギー力をどれだけ確保しているか、ということだ。
今の世界ではエネルギー力とは石油のことであり、石油が経済力に直結している。
エネルギーの確保というのはそれだけ重要なものなので、石油資源を持っていない日本が国家経済の自律性を確保するために原子力の開発に力を注ぐことはごく当然の帰結だし、石油も無い上に原子力も無くなれば貧乏真っ逆さまになることは明らかで、そんな中で自国民が原子力の廃止にやっきになるというのは、諸外国から見ればとても滑稽に見えると思う。
しかしまあ、そんな中で非産油国のキューバが健闘しているのは注目に値する。
まったくキューバはあなどれない。
このリストは国単位のGDPの総計のランキングだけれど、より実感値をとらえるために、一人あたりGDPというのもある。
これについても、CIAの一人あたり購買力平価のデータをもとに作成した。
GDPを人口で割るので、国民の数は少ないけれど豊かな国が上位に来る。
カタールとリヒテンシュタインがダントツのトップ。
すごいおもしろい。超ダークホース。
リヒテンシュタイン、ルクセンブルク、バミューダ、ジャージー、ガーンジー、アンドラ、ケイマン、ジブラルタル、シンガポール、香港、ヴァージン、サンマリノはいわゆるタックスヘイブン(租税回避地)なので、海外の大儲けした企業が実態はなくとも本社拠点を置くことで、一人あたりGDPを押し上げている。
これらの国の一人ひとりがすごく豊かな生活をしているかというと、まあ豊かには違いないけれど、だいぶ実際よりかさ上げはされていると思う。
カタール、クウェート、ブルネイ、バーレーン、アラブ首長国連邦、赤道ギニアあたりは産油国。
国別GDPのキモは石油、一人あたりGDPのキモは租税回避と石油、という身も蓋もない現実があらわになっている。
そんな中、国別GDP上位の国が、一人あたりGDPで何位になっているか見てみる。
1 アメリカ合衆国 8位
2 中国 99位
3 日本 28位
4 インド 133位
5 ドイツ 24位
6 ロシア 54位
7 ブラジル 80位
8 イギリス 27位
9 フランス 29位
10 イタリア 30位
まあ、アメリカの8位はさすがにね、という感じ。
20番代の日本、ドイツ、イギリス、フランス、イタリアは先進国の似たもの同士。
中国、インド、ブラジルはとにかく人が多いので、人口で割るとガクンと下がる。
フィリピン、インドネシア、モロッコも辛い感じ。新興国なのにフロンティアに追い上げられている。
フロンティアのケニアやバングラデシュの下位ぶりもひどい。
このあたりは一般庶民の生活の体感値と一致する。
そんな中、人口も多く、国土も広いロシアの50位というのはかなり健闘していると思う。
キューバ同様、社会主義国の底堅さはあなどれない。
社会主義は崩壊したと思ってバカにすんなよ、と。
(まあいまのロシアはほとんど資本主義だけど)
(まあロシアはそもそも産油国なんだけど)
一人あたりGDPを押し上げるという意味では、中国の一人っ子政策も考え方としてはありえるのかな、という気もする。
(まあ生産人口の減少が分子となるGDPを下げて相殺してしまうんだけど)
ヨーロッパは、フランス、ドイツ、イギリスといった大国よりも、
ノルウェー、スイス、オーストリア、スウェーデン、オランダ、ベルギー、アイルランド、デンマーク、アイスランドといった小国のほうが上位に来ている。
少ない人口で少数精鋭の効率的な国家経営をしていることがわかる。
オーストラリア(11位)やカナダ(16位)も強い。豊かそうだもんね。天然資源も豊富だし。
ここで上位に来ている国は豊かではあるけれど、その分物価も高いので、豊かだからと言って生活しやすいかというとそうとも限らない。そのあたりのバランスはなかなか難しいところだ。
まあ、日本はほっておいても分母の人口は減るので、あとは法人税を減税して、外国企業を誘致するのが一人あたりGDPを押し上げるポイントだと思う。(逆に言うと、こういう事実がありながら、増税するのはかなり愚か)
ここはぜひ沖縄をタックスヘイブンに。
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