生命保険はなんだかよくわからないので関わらないようにしていたんだけど、行きがかり上、調べることになったので、いくつか本を読んでみた。
岩瀬 大輔
文藝春秋
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定期、養老、終身、特約、解約控除、付加保険料。。。
生命保険はまず用語がわかりにくい。単語だけ見て連想しようとしても何を示しているのかよくわからない。
用語集のようなものがついていても、いまいちピンと来ない。
言葉というものは文脈を通して理解するものなので、カラクリを知ることが肝要。
そんなわけで生命保険のカラクリを解いた本書は非常に良書です。
へー、そっかー、なるほどー、と頭の中で何度もうなずいた。
生命保険を検討するなら、何よりもまずこの本を読むことですな。
後田 亨 渋澤 健
朝日新聞出版 (2013-01-11)
売り上げランキング: 2,287
定年退職で数千万の退職金を得た人が、銀行の窓口ですすめられるがままにわけもわからず銀行に都合のいい生命保険や投資信託に入らされてしまうことが多い。そういうのに安易にひっかからないように警鐘を鳴らす本。
ちょっと内容は散漫な感じだけど、まあ、参考にはなった。
ダイヤモンド社+生活設計塾クルー 野田 眞 内藤 眞弓 深田 晶恵 清水 香 望月 厚子
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 52,237
「金融のプロに騙されるな」で推薦されていたので読んでみた。
できるだけ保険に入らないよう、本当に必要最低限のものにしぼろうとしているスタンスが良い。
保険の相場観がわかるところが良かった。
まあ不安を感じはじめたらキリがないのだけれども、
結局保険というのは、十分な資産が無い人が、少ない資金でレバレッジを利かせて危機が起きた際の資金(医療費・遺族の生活費)を調達するもの。
目安として、普通の勤め人なら何かあったときでも3000万用意できればなんとかなりそうだ。
だから、資産がすでに3000万以上ある人は、何かあってもそれで賄えてしまうので、さらに保険に入る必要はない。
あればあったにこしたことはないけれど、ないからと言って致命的な状況に陥ることはない。
90年代前半くらいまでは養老保険等の予定利率がそこそこ高く、資産運用も兼ねて一時金で養老保険に入るのも悪くはなかったようだけれど、90年代末の生保の逆ざやによる連鎖破綻を経て、今はすっかり低利なので、保険に払うお金は付加保険料のかからない分、投資信託などの運用に回した方が合理的。生保の貯蓄性はもう考えないほうがいい。
生保も「生命保険」という純粋な機能に立ち返って、自動車保険や旅行保険と同じように、必要な期間だけ必要な額を掛け捨てで入るのが合理的ということがよくわかった。
まあ夫婦で子どもがいる普通の勤め人なら、特約のない定期保険で2000万か3000万くらいのものを掛け捨てで10年更新するくらいで十分だと思う。
医療費が心配なら共済の医療保険をプラス。
独身だったり、子どもがみんな独立してしまった場合は、保険に入る必要はない。
何かあったときの備えは保険ではなくて、貯蓄と資産運用で賄うのが合理的。貯蓄が足りなければ仕事をして貯める。
資産が6000万以上ある人は、相続税対策として終身保険に入っていたほうがいいけれど、500万×法定相続人の数までの金額で十分。
それ以上かけても、みなし相続財産になってしまうので相続税対策にならない。
まあ相続財産が不動産ばかりで現金化が難しいときは現金調達のために生命保険が役立つのかもしれないけど、そういう場合は、生前のうちに不動産を売るか譲るかしておいたほうがいい。
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で、まあ「変額個人年金保険」である。
今回、生命保険について調べたのは、この変額個人年金保険というのが何なんだかよくわからなかったからだった。
パンフレットを見たとき、どうも直感的にろくでもないものような気がしていたけれど、いろいろ調べてみて、やっぱりろくでもなかった。
たとえばこんなの。
http://www.ms-primary.com/products/happy/
まあ早い話が投資信託である。
保険会社にお金を預けて運用してもらうだけだ。
で、運用の成果に応じた額を年金としてそのあともらうことになるんだけど、その成果の状況が非常にわかりにくい。
契約してすぐに定額の少額給付がはじまったりして、すでに給付した分を資産からマイナスしてトータルで報告書が作成されるので、運用がうまくいってるのか、ダメなのかがわかりにくい。
まあダメになってることをごまかすためにそうしているんだけど。
運用期間中に死亡したら死亡保険が下りると言っても、自分で預けたお金が預けた分だけ下りてくるだけなので、それって保険じゃないじゃん、普通預金と一緒じゃん、しかもなんかちょっと減ってるし、という感じなんだよね。
普通に投資信託を買ったほうが断然シンプルで柔軟性が高い。
でもみんな買っちゃうんだなあ。銀行の窓口で薦められて言いなりになっちゃうんだなあ。
ひとつには、90年代前半までの養老保険がわりとよかったから、そのころ得したイメージに引きずられて、「まあ保険にでも預けておけばいいんじゃない」と思っているんだと思う。
ふたつめには、投資信託とか株とかに対する苦手意識があると思う。「株とか危なそうだし、よくわかんないし、保険会社ならちゃんとやってくれそうだから」とか。保険会社だって結局株や投信や国債、社債で運用しているだけなんだけどね。
みっつめには、社会の仕組みや現状を知ることを放棄している、ということがあると思う。利率がこの20年間でどのように変化しているかとか、保険会社がどのようにお金を運用しているのかとか、ちょっと調べればわかることでも調べないで人任せにしてしまおうとする。かつての護送船団方式の半社会主義的国家経営の記憶に引きずられているんだと思う。
「金融ビッグバン」と言われていたりしたけれど、バブル崩壊と98年のアジア通貨危機をきっかけにした興銀・長銀・日債銀の破綻と生保の連鎖破綻により、2000年ごろを境にして、日本の金融はそれ以前のものとはだいぶ異なるものに様変わりしてしまっている。
時代の状況は常に変化しているので、ちゃんとキャッチアップして自分の頭で考えていかないとね。
しかし、高齢者のそういったマインドセットを見越して販売手数料目当てに保険を売りつける銀行って本当にたちが悪い。
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